仕事柄海外のお客さんを富山に迎える。東京に行き慣れている海外の方にとって、地方は魅力的だ。気に入ったからなんども来てくださると、少し困る。連れて行くところがない。いつも何か新しいものを提供しようと迎える側は躍起になる。瑞龍寺には行ったし、瑞泉寺には行ったし、富山城にも市役所の展望台にも行った。五箇山にも連れて行ったし、五百羅漢も見せた。宇奈月にも行ったし、称名滝にも行った。どこ行けばいい?
とりあえず夏なんで、雨晴海岸に連れて行った。 喜んで海に飛び込む北欧のお客さん。

浜辺で近くの海の家のラムネを飲みながら、思う。人が少ない。見渡してみる。人が少ない。地元の子供達が海の家のおばんちゃんにかき氷を注文する。
「ミルク多めでね!」
練乳のことのようだ。
「ミルク多めは50円ましだけど、地元の子供たちだからおまけだよ。」
「お客さんの連れはどこから来たんですか?」
え〜っと、北欧の方からだけど。
「うちにもホームステイで引き受けたことがあるけど、こんな何にもないところで退屈だったんじゃないかなって、思うんですよ。」
確かに。いや、でもね、何にもないから逆にいいんじゃない。海あるし。人いないけど、その分受け入れ家族と密に過ごせるし。
考えてみればそうだ。あれこれ新しいものを見せようとしたり提供しようとするから、富山を卑下しちゃうう。なんにもないよ。でも、いいとこだよ。それでいいじゃない。
暑い夏、誰もいないビーチ、こんなの他にないよ。

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