富山と岐阜の県境,大長谷村に週末だけ寄寓する一家の物語。
仰ぎ見れば白木峰、美しい小川がせせらぎ、のどかな畑のひろがる大長谷からの便りです。
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北京出張は忙しかった。休日に海外出張という野暮に対する家族の不満を背に受けながら,寒い北の都に向かいました。それにしても北京は寒かった。
北京は何度も訪れているのに,実は天安門さえも見たことがない。いつも仕事で観光がないのだ。今回も仕事の会場となったホテルで丸一日。継ぎの日は,いろいろと訪問先を回る間に時間は過ぎ,途中,天安門も見たことがないという私の話を不憫に思った貸し切りタクシーの運転手が,次の会場に移動する途中に天安門を一周してくれた。ありがとう。でも,車の窓から見える風景は,なんだかテレビを見るようで実感がわかない。 3泊の仕事を終えて,早朝に空港へ。お土産を仕入れるべく,免税ショップ間を走り回る。時間がない。ゲートが閉まる時間になった。久しぶりに小学生のように走った。なんとか飛行機に乗れて,シートに身をゆだねて,何やってんだ俺はと息を弾ませながら思う。相変わらず,余裕がいつもない。 北京から羽田への直行便。羽田に降りられるのがいいね。この便利さは,羽田国際ハブ空港化に賛成したくなるほどの便利さだ。海外でぐったりと仕事で疲れて成田から電車に乗る辛さは,やはりぞっとする。 ただし,富山は大雪。富山空港に着陸できず,羽田に引き返すかもしれないとのアナウンス。はやくおうちに帰りたい。 ロシアで飛行機に乗ってランディングすると,拍手がおこる。私は,この拍手が大好き。飛行機なる鉄の塊がちゃんと飛んで,安全に目的地まで運んでくれた畏敬の気持ち,高度な資格を有する職業であるパイロットへの敬意と安全な飛行への感謝の気持ち,おらぁ遠くまで飛行機のっただよぉ〜という田舎気性などが入り交じった拍手が好きだ。 日本じゃ拍手にお目にかかったことがない。飛行機にのるなんてたいした事じゃない。最近じゃ,パイロットという職業もなんだか子どもの憧れでもなさそうだ。聞こえてくるのは,航空会社の倒産の話。JALから鶴のマークが消えるとともに,なんだか飛行機への特別な思いがなくなってしまったようにも感じる。だから,日本の国内線に乗っても,拍手はきっとおこらない。 でも,豪雪の富山に向かう飛行機は別かもしれない。私は,飛行機に乗りながらそう感じた。今年の大雪は,何度も富山空港を閉鎖に追い込んだ。私の飛行機も,羽田に引き返すかもしれないとの但し書き付きで羽田を飛び立った。みんな羽田に戻ってしまうのではないかと疑心暗鬼になっている。予定時間になっても着陸できない。上空での旋回を続ける。こりゃだめだと半ばあきらめ顔で乗客は皆静かに運命を待つ。緊張をほぐそうとしてかキャンディが配られる。 着陸に備えたチャイムがなる。風が強い。なんども期待が揺れる。飛行に影響がないと何度もアナウンスが入る。ごぉ〜と風がなり,エンジンがうなり,翼が揺れる。なんとなく緊張。耳が痛くなる。唾を飲み込む。 すぅ〜とランディング。エンジンが逆回転し,機体の速度がゆるむ。 私は,拍手した。いい音が響いた。誰も続かない。失敗だ。 いや,そんなことはない。周りの乗客がこちらに振り向き,笑顔で頷いた。いや到着できたね!って顔で頷いた。 そうか,拍手はなくとも,みな同じ気持ちを共有したんだね! PR |
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